2025年2月2日



「放蕩息子と父の愛」(要約)

新約聖書:ルカによる福音書15章11〜24節



ある日、取税人や罪人たちがイエス様の話しを聞こうと集まっていると、パリサイ人や律法学者たちがイエス様に、なぜ罪人たちを受け入れ、食事まで一緒にするのかと尋ねました。その答えが放蕩息子の譬え話しです。イエス様はこの譬えで、神様は罪人が悔い改めてご自分のもとに帰ってくるのをとても喜ばれる方であることを伝えています。(10節)


ここに出てくる父親とは、神様のことです。息子とは、イスラエルの民であり、私たち(人間)のことです。

人は、神によって創られ、いのちの息を吹き込まれ、生きるものとなりました。しかし蛇の姿を借りた悪魔の誘惑により、神に背いて悪に落ちました。こうしてこの世界は、人の原罪によって壊れた世界になりました。しかし神は、アブラハムを選びイスラエルの民をご自分の民とし、その子孫によって世界を祝福するという約束を与えられます。

ヤコブの時代にエジプトに下ったイスラエルの民は、モーセを通してエジプトの支配から救い出されます。十戒を与えられたイスラエルの民ですが、しかしその後、何度も他の神々に仕えまことの神に背き続けたので、アッシリアやバビロンに連れて行かれ、散らされてしまいます。しかし憐れみ深い神は、そこからイスラエルの民を連れ戻し、再び集められました。これがこの譬えの背景にあります。

この譬えの中に出てくる重要な言葉は「我に返る」と「かわいそうに思い」です。「我に返る」とは、罪を悔い改めることです。放蕩息子は、このままでは飢え死にするという、惨めで危機的な状況になった時に「我に返り」ました。この時放蕩息子は、まことの神と父親への罪を思い出します。

神様は、私たちが、これまで神を離れて自分勝手な生き方をしてきたことを悔い、自分のすべての罪を負って死んでくださったイエス・キリストを信じ受け入れるならば、喜んで私たちをご自分のもとに迎え入れてくださるのです。このとき私たちは、聖霊により新しいいのちをいただいて、死んだも同然の状態から新しいいのちに生きる者へと変えられます。

天の神様は、罪人がご自分のもとに帰るのを待っておられます。これが、イエス様が「罪人たちを受け入れて、食事まで一緒に」された理由です。イエス様は、パリサイ人や律法学者たちに、神様は、罪人の悔い改めを何よりも喜ばれる方であることを伝えられたのです。ルカの福音書19章10節に「人の子は失われた人を探して救うために来たのです。」とあります。人の子とはキリストのこと、失われた人とは罪人のことです。

主は生きておられます。そしていつも罪人がご自分のもとに帰るのを待っておられます。また既にイエス様を信じている方も、日々罪を悔い改め、キリストと共に歩むようにしましょう。既に救われた者のうちにも「古い人」がいるのですから。


説教者;加藤 正伸 長老



<ルカの福音書 15章11〜24節>

11 またこう話された。「ある人に息子がふたりあった。

12 弟が父に、『お父さん。私に財産の分け前を下さい』と言った。それで父は、身代をふたりに分けてやった。

13 それから、幾日もたたぬうちに、弟は、何もかもまとめて遠い国に旅立った。そして、そこで放蕩して湯水のように財産を使ってしまった。

14 何もかも使い果たしたあとで、その国に大ききんが起こり、彼は食べるにも困り始めた。

15 それで、その国のある人のもとに身を寄せたところ、その人は彼を畑にやって、豚の世話をさせた。

16 彼は豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいほどであったが、だれひとり彼に与えようとはしなかった。

17 しかし、我に返ったとき彼は、こう言った。『父のところには、パンのあり余っている雇い人が大ぜいいるではないか。それなのに、私はここで、飢え死にしそうだ。

18 立って、父のところに行って、こう言おう。「お父さん。私は天に対して罪を犯し、またあなたの前に罪を犯しました。

19 もう私は、あなたの子と呼ばれる資格はありません。雇い人のひとりにしてください。」』

20 こうして彼は立ち上がって、自分の父のもとに行った。ところが、まだ家までは遠かったのに、父親は彼を見つけ、かわいそうに思い、走り寄って彼を抱き、口づけした。

21 息子は言った。『お父さん。私は天に対して罪を犯し、またあなたの前に罪を犯しました。もう私は、あなたの子と呼ばれる資格はありません。』

22 ところが父親は、しもべたちに言った。『急いで一番良い着物を持って来て、この子に着せなさい。それから、手に指輪をはめさせ、足にくつをはかせなさい。

23 そして肥えた子牛を引いて来てほふりなさい。食べて祝おうではないか。

24 この息子は、死んでいたのが生き返り、いなくなっていたのが見つかったのだから。』そして彼らは祝宴を始めた。