2024年1月7日



「主を待ち望む」(要約)


旧約聖書:詩篇33篇



この詩篇は、神様への賛美と礼拝のために作られた詩です。1節から11節の前半は神様とその御業の賛美、12節から22節の後半は主を待ち望む民の幸いです。


1 神への賛美 1節から5節

この詩は賛美から始まります。1節の「正しい者たち」。日本語では「君の言うことは正しい」のように使いますが、「正しい人」はあまり聞きません。しかし英語では、righteous。神を恐れ道徳的にも正しく歩んでいる人のこと。また「心のすぐな人」は英語でupright。まっすぐな、正直な人のこと。神様は、私たちに、神様を恐れ、神様にまっすぐな気持ちで賛美することを求めておられるのです。

3節に「喜びの叫びとともに」とあるので、力いっぱい歌うということです。さらに立琴や十弦の琴といった楽器に合わせて歌います。何を歌うかというと「ほめ歌」、神様を讃える歌と「新しい歌」、神様の新しい奇跡のわざの歌です。

その神様は、そのことばが正しく、真実を行い、正義と公正を愛される方。公正とは、特定の人たちだけの利益ではなく、誰に対しても平等であるということ。世界はこの神様の恵みで満ちているのです。


2 神様のみわざのすばらしさ6節から8節

6節に「主のことばによって、天は造られた。」ここにイエス様のことが書かれています。この世界を創造されたのは神様ですが、このときイエス様も神様と一緒にこの世界を作られました。ヨハネの福音書1章1節、2節「初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。この方は、初めに神とともにおられた。」イエス様ご自身も、ヨハネの福音書17章5節で語っています。

7節は、神様が海と陸を造られたということ。8節は、この世界を創造されたこの神様の前に、大自然よ全人類よ、みなおののけと言うのです。非常にスケールの大きい賛美です。


3 歴史を支配される神様9節から11節

10節と11節は、神様は歴史を支配される方であるということです。「国々のはかりごと」という言葉から、私たちはウクライナ戦争やイスラエルで起きている紛争を思い浮かべます。戦争は人の罪が引き起こします。そこに平和を作り出す人の姿は見られません。しかしいろんなことがあったとしても、神様の計画通りに進んでいきます。キリストの教えはこれからも世界中に広がっていきます。


4 人の心を造られた神様、軍隊も権力も力も救いをもたらさない  12節から17節

後半の12節からは主を待ち望む民の幸について書かれています。12節にある、主をおのれの神とする国、神がご自身のものとしてお選びになった民とは、私たちのことです。

13節と14節には、神様はすべての人の心を造られたので、すべての人の行いを全てご存知であることが語られます。15?17節で、王様は軍隊を誇り、人は自分の力や権力を誇るが、そのようなものは本当の救いにはならない、頼みにはならないと断言します。では救いはどこにあるのか。それが18節以降です。


5 神を待ち望む民 18節から19節

18節の「主の目は、主を恐れる者に注がれる。」は、12節の「神がご自身のものとして選びになった民」のこと。この民とは神様を恐れる人たち、神様の恵みを待ち望む人たち。13節では神は「人の子らを残らずご覧になる」とありますが、18節では、神様は神を恐れる民に「主の目」を注がれます。

そして神様は、19節にあるように神の民のたましいを救い出す。私たちを死から贖い出して下さるイエス様のことです。「飢饉の時」、すなわちすべての人が苦しむような時でも、神様はいのちを守ってくださいます。

ですから、20節にあるように神の民は「主を待ち望む」のです。「待ち望む」とは、「待つ」と「望む」。単に待つのではありません。祈りが実現することを期待して待つのです。

また5節、18節、22節に「恵み」という言葉が出てきます。日本語で「恵み」と言うと「恵むこと、情けをかけること、哀れみ」という意味ですが、英語ではsteadfast love。これは「揺るがない、不動の」という意味。ですから18節は、英語では「主の確かな愛に希望を持つ者に」「主の目は注がれる」という言葉になります。恵みを神様の愛と切り離して考えることはできません。

聖書の中で神様の助けを「待ち望」んだ人といえばアブラハム。ヘブル人への手紙6章14節から17節にあるとおりです。サムエルの母ハンナやバプテスマのヨハネの母エリサベツもそうです。ダビデについて言えば、危機状況の時にダビデが神さまを待ち望んでいたことが分かります。40篇1節?3節はその1つの例です。


6 神を待ち望む民の幸いと祈り 20節から22節

作者は、20節で、神様が私たちの助け、私たちの盾、つまり私たちを敵や禍いから守ってくださる方であると言い、21節で、この神を喜び信頼していることを告白します。22節は祈りです。


私たちも神様の恵みを待ち望む民ですが、それぞれ苦労されています。親の介護など生活面での苦労、仕事の面での苦労、健康面での苦労や戦い、子育ての苦労、子供たちの中にも友達の付き合いや進学のことで悩む子がいるかもしれません。しかし、神様は、私たち一人ひとりに目を注いでおられます。神様は私たち、主を待ち望む者の声を聞かれ、ちょうど良い時に恵みや救いを与えてくださるのです。教会の歩みも同じです。

また、私たちが主を信頼し、主を待ち望むときは、私たちが主と生きた関係を持つときです。それは私たちが、イエス様の十字架を思い起こし、イエス様の御霊の導きにすがるときだからです。今年も十字架のイエス様を見上げて、主の祝福を待ち望みつつ、歩んでいきましょう。




説教:加藤 正伸 長老



<詩篇 33篇>

1 正しい者たち。主にあって、喜び歌え。賛美は心の直ぐな人たちにふさわしい。

2 立琴をもって主に感謝せよ。十弦の琴をもって、ほめ歌を歌え。 3 新しい歌を主に向かって歌え。喜びの叫びとともに、巧みに弦をかき鳴らせ。

4 まことに、主のことばは正しく、そのわざはことごとく真実である。

5 主は正義と公正を愛される。地は主の恵みに満ちている。6

6 主のことばによって、天は造られた。天の万象もすべて、御口のいぶきによって。

7 主は海の水をせきのように集め、深い水を倉に収められる。

8 全地よ。主を恐れよ。世界に住む者よ。みな、主の前におののけ。

9 まことに、主が仰せられると、そのようになり、主が命じられると、それは堅く立つ。

10 主は国々のはかりごとを無効にし、国々の民の計画をむなしくされる。

11 主のはかりごとはとこしえに立ち、御心の計画は代々に至る。

12 幸いなことよ。主をおのれの神とする、その国は。神が、ご自身のものとしてお選びになった、その民は。

13 主は天から目を注ぎ、人の子らを残らずご覧になる。

14 御住まいの所から地に住むすべての者に目を注がれる。

15 主は、彼らの心をそれぞれみな造り、彼らのわざのすべてを読み取る方。

16 王は軍勢の多いことによっては救われない。勇者は力の強いことによっては救い出されない。

17 軍馬も勝利の頼みにはならない。その大きな力も救いにならない。

18 見よ。主の目は主を恐れる者に注がれる。その恵みを待ち望む者に。

19 彼らのたましいを死から救い出し、ききんのときにも彼らを生きながらえさせるために。

20 私たちのたましいは主を待ち望む。主は、われらの助け、われらの盾。

21 まことに私たちの心は主を喜ぶ。私たちは、聖なる御名に信頼している。

22 主よ。あなたの恵みが私たちの上にありますように。私たちがあなたを待ち望んだときに。